お仕事で机やパソコンなどを購入することがあります。購入価格が10万円以上20万円未満(税抜経理の場合は税抜価格)の場合は一括償却資産・少額減価償却資産かの適用判断が必要となります。

少額減価償却資産とは

租税特別措置法の特例です。
この特例の対象となる資産は、取得価額が30万円未満の減価償却資産です。取得した事業年度(個人の場合は年分(以下、同じ))で全額を損金算入(個人の場合は必要経費に(以下、同じ))することができます。

ただし、適用を受ける事業年度の少額減価償却資産の取得価額の合計額300万円が損金算入の限度額となります。
取得価額が10万円未満のもの(少額資産)又は一括償却資産の損金算入制度の適用を受けるものについてもこの特例の適用はありません。

□適用対象となる法人
青色申告者である法人で租税特別措置法上の中小企業者等(注1)に該当する場合
(注1)資本金の額が1億円以下の法人

但し、以下の法人は除かれます。

  • 資本金が1億円を超える法人(以下、大規模法人という)に1/2以上の株式等を所有されている法人、2以上の大規模法人に2/3以上の株式等を所有されている法人
  • 常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
  • 平成31年4月1日以降に開始する事業年度において中小企業者のうち、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人

□適用対象となる個人
青色申告者である個人で常時使用する従業員の数が1,000人以下の方

一括償却資産とは

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産(国外リース資産やリース資産、少額な減価償却資産を除きます。)については、減価償却をしないでその使用した年以後3年間の各事業年度において、その減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1の金額を損金算入することができるものです。

2制度の比較・重複範囲図
2制度の比較及び重複範囲

償却資産税との関係

償却資産税は市区町村が課税する地方税です。

課税対象は有形固定資産のうち、土地等・建物・自動車税が課税される車輌運搬具・所有権移転外ファイナンスリース資産以外の資産となります。
なお、上記の資産のうち一括償却資産は課税されませんが、少額減価償却資産の特例を適用したものは課税対象に含まれます

したがって、少額減価償却資産は損金算入の即時性はあるものの、償却資産税が課税されることを考慮しないと税金で資金が流出してしまいます。

□少額減価償却資産を選択した場合の償却資産税負担額~複数の資産となれば思わぬ負担

取得価額:15万円
耐用年数:10年
減価率 : 0.206
(除却しないかぎり5%の残存簿価に課税)

15年経過時の税金負担額累計 = 8,800円

少額減価償却資産を適用する場合、塵も積もれば税金負担増となります。ご留意ください。

法人の中小企業者の範囲については平成31年4月1日以降開始事業年度から適用される改正があります。
詳しくは以下の「措置法の中小企業者の範囲を見直し(連載まとめ)」ページをご覧ください。

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