令和2年度税制改正で「ひとり親控除の創設」と,「寡婦控除の改組」が行われましたが、改正前の「寡婦・寡夫控除」と判断基準のアプローチが変わっています。今回は、適用要件についてフローチャートに纏めてみました。
適用時期
新たな制度は、源泉徴収事務では令和3年1月1日以後に支払う給与等から、年末調整や所得税の確定申告では令和2年分から適用されています。
まずは、年末調整で実務がスタートしていますが、納税者や経理事務では混乱も生じているようです。
適用要件の注意点
寡婦控除は婚姻歴の有無を確認する
まず、創設された「ひとり親控除」は、婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を一にする子を有するひとり親について、適用要件に該当する方は「ひとり親控除」が適用されます。
これに対して、改組された「寡婦控除」は、女性のみに適用されますが、いわゆる、「未婚の母」については従前とおり「寡婦控除」は適用されないため注意が必要です。
事実上婚姻関係があるか?
いわゆる、内縁の妻や内縁の夫がいる場合は、「ひとり親控除」及び「寡婦控除」は適用されません。これは、今回の改正で導入された除外規定となります。
実務では、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載があるかの確認が必要となります。
市区町村では、年末調整(給与支払報告書)や確定申告で住民税を課税する際に、住民票をチェックすると思われますので留意が必要です。
ひとり親控除と寡婦控除のフローチャート
まとめ
「未婚の母」については、フローチャートで「寡婦控除」へ流れる際に、「男性」と「未婚の母」が除外されるようになっています。
年々、所得税が複雑になってくのを実感しています。年末調整や確定申告で実務チェックに時間がかかってきますので、適用判定の際に是非ご活用ください。