令和2年分の確定申告書から雑所得の計算区分に「業務に係る雑所得」が追加されました。今回はその概要と令和4年分の所得税から適用される改正を確認します。

雑所得と法令上の計算区分

所得税では、所得が10種類に区分されています。雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいい、所得の計算は次の1~2の合計額となります。

  1. 公的年金等
    その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額
  2. 1.以外のもの
    その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額

(所得税法第35条第1項・第2項)

現行の計算区分

法令上、「業務に係る雑所得」の定義は規定されていませんが令和2年分の確定申告書から追加された計算区分は以下のとおりです。

  1. 公的年金等
    収入金額-公的年金等控除額=公的年金等の雑所得
  2. 業務に係るもの
    総収入金額-必要経費=業務に係る雑所得

    業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいいます。
    したがって、副業や兼業収入は基本的に「業務に係るもの」に該当します。
  3. 上記以外のもの
    総収入金額-必要経費=その他の雑所得

業務に係る雑所得の留意点

帳簿書類等

令和4年分の所得税において、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合は、現預金取引等・領収書等関係書類を保存(5年間)しなければなりません。

現金主義の特例

その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円以下である場合は、確定申告書に特例を受ける旨を記載することを要件に、その年において収入した金額、支出した費用の額とすることができます。

計算書類の添付

その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合は、確定申告書に総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書など)の添付が必要となります。

雑所得は他の所得との損益通算不可

雑所得は他の所得との損益通算ができません。損益通算とは、その所得の赤字を他の所得の黒字と相殺する計算方法のことです。
つまり、例えば、「業務に係る雑所得」に区分された場合、「業務に係る雑所得」で生じた赤字は、その年分で他の所得と合算せず切捨てられます。

「事業所得」と「業務に係る雑所得」のいずれかに該当するかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度でおこなわれているかどうかで判定することが原則となっています。

その所得を得るための活動が、いずれの所得に該当するのか今一度確認が必要となってきます。

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