令和7年3月31 日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第13 号)(令7改正法)」により「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(防確法)」が改正され、防衛特別法人税が創設されました。
これに伴い、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、防衛特別法人税の納税義務者となり、防衛特別法人税確定申告書の提出が必要となります。
防衛特別法人税の概要
各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、令和8年4月1日以後に開始する各事業年度において、所得税額控除など一定の税額控除を適用しないで計算した法人税の額から年500万円を控除した金額に4%の税率を乗じて計算した金額を、防衛特別法人税額として申告し、納付することが必要となります。
防衛特別法人税(納付額)の計算式
基準法人税額 - 基礎控除額(年500万円) × 税率(4%) - 外国税額控除等 = 納付税額
基準法人税額の算定
基準法人税額とは、以下の税額控除を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額をいいます。
- 所得税額の控除(法68)
- 外国税額の控除(法69)
- 分配時調整外国税相当額の控除(法69の2)
- 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除(法70)
- 戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措置の税額控除(措法42の12の6⑥⑦)
- 上記5の措置に係る通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額の加算(措法42の14①④)
- 外国関係会社等に係る控除対象所得税額等相当額の控除(措法66の7④、66の9の3③)
基礎控除額の算定
基礎控除額は年500万円(防確法13③)です。
なお、課税事業年度が1年に満たない場合には、500万円を12で除し、これにその課税事業年度の月数を乗じた金額となります。(防確法13⑧⑨)
防衛特別法人税の計算
課税標準法人税額の算出にあたっては、以下の区分に応じそれぞれの金額となります。
- 基準法人税額から基礎控除額を控除した金額(以下2に該当する場合を除く)
- 各課税事業年度の基準法人税額に特定同族会社の特別税率(法法67①:留保金課税制度)により加算された金額がある場合には以下の金額の合計額となります。
ア.その課税事業年度の加算前基準法人税額か ら基礎控除額を控除した金額
イ.その課税事業年度の基準法人税加算額から上記ア.で控除しきれなかった基礎控除額(基礎控除残額)を控除した金額
上記により算出された課税標準法人税額に税率(4%)を乗じて防衛特別法人税が計算されます。
納付額の計算
以下の税額控除の順で防衛特別法人税より控除して納付額を計算します。
- 分配時調整外国税相当額の控除
- 控除対象所得税額等相当額の控除
- 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除
- 外国税額控除