「利益」と「儲け」の違いについて税理士業務の日常的な会話から珍しく対話形式でまとめてみました。お気軽にお読みください。

投資と利益・資金についての話

A)あれ?先月は機械を購入して300万円払ったのにかなり利益が出ているね。

B)この機械の支出は費用で処理できませんので貸借対照表の固定資産に計上しました。耐用年数が10年で定率法ですから月割りで減価償却費(費用)が5万円増えています。前回、投資のご相談の際、ご説明したとおりです。

A)そうか・・でも300万円払ってたった5万円しか落とせないのだね。現預金は300万円減ったのに利益が出て税金を払うとなると痛いなあ

B)期末まで残り5ヵ月ありますのであと25万円費用で落とせます。機械の簿価(残高)は期末に270万円あるので、残り9年と6月で全額費用となります。

A)気の長い話だな。しかし資金が心配だ。

B)この機械を購入したことにより顧客の拡大は増加したのでしょうか?

A)そうそう、今営業が頑張っているよ。他にできない製品ができるので少しずつ受注が入ってきている。今月末には20万円入金があるよ。

B)そうですか、先月も利益が出でいて固定費を賄えていますから、この製品の粗利が50%ということは経常利益に5万円(20万円×50%-5万円(減価償却費))上乗せですね。単純計算で(減価償却費を除きます)投資の回収は2年と6ヵ月で済みそうです。

A)いや、もっと受注が増えるだろうから受注に対応できるように機械を増やさないといけないかもしれないな。

利益と儲けは違う

この会話の中では利益と儲けの話があります。

利益は損益計算書で収益と費用で計算される差額です。では、この投資だけに限定して先月の利益を計算してみましょう。

売上:20万円(請求書発行:実現ベース)

原価:10万円(請求書到着:検品ベース)

経費: 5万円(減価償却費)

利益: 5万円

儲けは現預金そのもののことです。損益計算に関する会計ルールは関係ありません。キャッシュフロー計算書(以下の表現は直接法になります)をイメージしてみてください。こちらも投資だけに限定して先月の儲けを計算してみましょう。

入金:    0円(売掛金未入金)

支払:    0円(買掛金未払い)

支払: 300万円(機械支払い済)

儲け:△300万円

全く違う結果になりました。この会話については受注が増加しているということですから、投資が回収されていきますが、受注が無かったとしたら300万円の機械がまったく儲けに貢献しないことになります。常にキャッシュフローを意識して、違う角度から見るようにしましょう。

参考までに、資産には最終的に現預金となる資産費用になる資産と二つの種類があります。前者は売掛金・受取手形・貸付金・未収入金などで現金回収過程にあるものを言い会計では「貨幣性資産」といいます。後者は棚卸資産・建物などの有形固定資産(土地は除く)・前払費用などで将来必ず費用となる資産を言い、会計では「費用性資産」といいます。

この記事は平成30年6月28日に発行されたものです。

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