新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に財務状況が悪化した企業やスタートアップ企業の資金繰りを支援するために、民間金融機関が資本とみなすことができる期限一括償還の資本性劣後ローンが創設されました。

資本性劣後ローンとは

資本性劣後ローンは、金融機関が債務者区分の判定において自己資本とみなすことができる融資であり、他の全ての債権より返済の順位が劣る借入のことです。一般的な借入と資本性劣後ローン借入でのBS上の違いは以下のとおりです。

借入前
・・・自己資本比率20.0%
※自己資本比率=(純資産÷資産)

一般的な借入:200千円を借入
・・・自己資本比率16.6%

資本性劣後ローンでの借入:200千円を借入
・・・自己資本比率33.3%

このように、資本性劣後ローンは借入を自己資本とみなすことができ財務面も充実します。

資本性劣後ローンの特徴

  1. 元金は最終期限一括での返済となり、最終期限までは、利息のみの支払となります。
  2. 業績に応じて金利が決定される仕組みとなっており、赤字のときは金利負担が小さくなります。そのため、安定的な返済計画を立てることができます。
  3. 資本性劣後ローンによる借入金は、法的倒産時には、償還順位が他の全ての債務に劣後します。

現状の日本政策金融公庫の資本性劣後ローン

挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)…国民生活事業及び中小企業事業双方で取扱い

  • 融資制度の対象・・・新規開業資金・再建資金等
  • 返済期間・・・5年1ヵ月以上15年以内
  • 返済方法・・・期限一括返済(利息のみ毎月)
  • 担保・保証人・・・無担保・無保証人
  • 利率・・・減価償却費算入前の売上高経常利益率を使用し、利率が変動します。

新型コロナ対策資本性劣後ローンについて

コロナ対応型の制度は、日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業)及び商工組合中央金庫において、7月1日から事前相談を開始し、8月上旬から制度の適用を開始する予定となっています。

明らかになっている主な概要は以下のとおりです。

貸付期間:5年1ヵ月・10年・20年(期限一括返済)※5年超で期限前弁済可能

貸付利率:当初3年間一律(0.5%~1.05%)4年目以降は直近決算の業績に応じて変動(2.6%~4.8%)

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