上場株式等に係る配当所得等について、「所得税」と「個人住民税」で異なる課税方式を選択できることとが平成29年度税制改正において明確化されましたが、令和4年度税制改正で「所得税」と「個人住民税」で異なる課税方式を選択できなくなります。

改正前の各種所得の課税方式

上場株式等の配当所得については、従前より、申告不要制度・申告分離課税・総合課税の選択について納税者が任意に選択できましたが、所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択することも可能です。

特定公社債等の利子所得および源泉徴収ありの特定口座内の上場株式等の譲渡所得等における申告不要制度と申告分離課税の選択においても、同様となります。

所得区分 所得税の課税方式 住民税の課税方式 備考
譲渡所得※1 源泉徴収ありの特定口座 申告不要制度・申告分離課税から選択 申告不要制度・申告分離課税から選択 所得税と個人住民税で異なる課税方式が可能
上記以外 申告分離課税 申告分離課税
配当所得 大口株主に該当しない(上場株式等)場合 申告不要制度・申告分離課税・総合課税から選択 申告不要制度・申告分離課税・総合課税から選択 所得税と個人住民税で異なる課税方式が可能
未公開株式・大口株主(発行済株式の3%以上保有) 総合課税※2 総合課税
利子所得 申告不要制度・申告分離課税から選択 申告不要制度・申告分離課税から選択 所得税と個人住民税で異なる課税方式が可能

※1取引頻度等により雑所得または事業所得になる場合を含む。

※2少額配当(年1回配当の場合1銘柄10万円以下)に該当する場合は、所得税のみ申告不要制度を選択可

異なる課税方式の具体的な手続きは、個人住民税の納税通知書が送達される⽇までに、確定申告書とは別に、市⺠税・府⺠税申告書を提出することにより、所得税等と異なる課税⽅法(申告不要制度、※総合課税、申告分離課税)を選択することができます。
※総合課税は配当所得のみに適用されます。

改正後の課税方式

適用時期は令和5年分の所得税からとなります。

改正前の「所得税」と「個人住民税」で税制上の有利・不利を踏まえた選択が一切不可となります。

したがって、各所得の課税方式において所得税で選択できる課税方式は変更ありませんが、そこで選択した課税方式がそのまま個人住民税にも適用されることになります。

令和4年分の所得税確定申告(令和5年分の個人住民税)が最後の選択可能な申告となりますのでご留意ください。

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