少額の減価償却資産・一括償却資産や中小企業者の少額減価償却資産の対象資産の見直しが行われ「貸し付けの用に供した資産」が除外されました。この改正は令和4年4月1日以降に取得等するものから適用されます。

少額の減価償却資産

少額の減価償却資産の所得価額の損金算入(個人の場合は左記下線を、「必要経費算入」と読み替える。以下同じ。)の規定は以下のとおりです。

  1. 取得価額が10万円未満であるもの(貸付け(主な事業としておこなわれるものを除く。)の用に供したものを除く)
  2. 使用可能期間が1年未満であるもの

これらについて、事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理した場合に損金の額に算入されるものです。(個人の場合は、左記下線部分を次のように読み替える。その者のその業務の用に供した年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する

したがって、今回の改正の「貸し付けの用に供した資産」は、10万円未満かどうか?の判定の際の除外規定となります。(法人税法施行令第133条・所得税法施行令第138条)

一括償却資産の損金算入

一括償却資産の損金算入の規定は以下のとおりです。

  • 取得価額が20万円未満であるもの
  • 国外リース資産及びリース資産を除く
  • 少額の減価償却資産の取得価額の損金算入の規定の適用を受けたものを除く
  • 上記①~③の条件に該当する対象資産のうち、貸付け(主な事業としておこなわれるものを除く。)の用に供したものを除く。

上記の条件に該当する資産の取得価額の合計額について、その合計金額を36で除し、その事業年度の月数を乗じた金額を限度額として損金算入を認めるものです。(個人の場合は、左記下線部分を次のように読み替える。その業務の用に供した年以後3年間の各年の費用の額とする方法を選択したときは、その合計額を3で除して計算した金額を必要経費に算入する。)(法人税法施行令第133条の2・所得税法施行令第139条)

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

当該措置法特例の適用要件は以下のとおりです。

  1. 青色申告書を提出するもの
  2. 措置法上の中小企業者であるもの(法人:みなし大企業に該当しないもののうち常時使用する従業員が500人以下。個人:常時使用する従業員が500人以下)
  • 適用除外事業者に該当しない(法人のみ)
  • 取得価額が30万円未満であるもの(取得価額が10万円未満であるもの及び少額の減価償却資産の取得価額の損金(必要経費)算入の規定の適用を受けたもの、その他、措置法上の他規定の重複適用及び貸付け(主な事業としておこなわれるものを除く。)の用に供したものを除く。)

上記の条件に該当する資産について損金経理(必要経費算入)したときに取得価額の合計額が300万円に達するまでの金額が限度額となります。(措置法第67条の5・措置法第28条の2)

貸付けの用に供した資産の除外規定

利益圧縮の目的で大量の資産を購入し資産の貸付けをおこなう節税スキームに対処するための除外規定であり、主な(通常の)事業活動で取得貸付けされるものについて除外する規定ではありません。(措置法施行令第39条の28・措置法施行令第18条の5)

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