令和5年度与党税制改正大綱が12月16日に決定されました。通常、翌年の3月末までに法案の国会審議を経て可決・成立されます。今回は令和5年10月1日から開始されるインボイス制度について影響があるとみられる改正案の速報です。
小規模事業者には約3年間にわたり税負担と事務負担を軽減
この改正案は、インボイス制度開始によってインボイス発行事業者登録した免税事業者が、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であるにもかかわらず、消費税を負担することを踏まえインボイス制度の浸透と税負担・事務負担軽減を目的としています。
以下は税制改正大綱のうち当該改正案の部分です。
適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置
- 適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者が適格請求書発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる場合には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額から控除する金額を、当該課税標準額に対する消費税額に8割を乗じた額とすることにより、納付税額を当該課税標準額に対する消費税額の2割とすることができることとする。
(注1)上記の措置は、課税期間の特例の適用を受ける課税期間及び令和5年10月1日前から課税事業者選択届出書の提出により引き続き事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる同日の属する課税期間については、適用しない。
(注2)課税事業者選択届出書を提出したことにより令和5年10月1日の属する課税期間から事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる適格請求書発行事業者が、当該課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出したときは、当該課税期間からその課税事業者選択届出書は効力を失うこととする。 - 適格請求書発行事業者が上記1.の適用を受けようとする場合には、確定申告書にその旨を付記するものとする。
- 上記1.の適用を受けた適格請求書発行事業者が、当該適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を認めることとする。
- その他所要の措置を講ずる。
適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置の要点
改正案の目的と効果
免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)になった場合の税負担・事務負担を軽減するため、売上に係る消費税額の2割を納税額(売上の把握のみで消費税の申告が可能)とすることができます。
経過措置の対象者
免税事業者(2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下等の要件を満たす者)からインボイス発行事業者になった者
経過措置の対象期間
令和5年10月1日~令和8年9月30日を含む課税期間(個人事業者の場合は令和5年10月~12月の申告から令和8年分の申告まで)
経過措置の手続と適用
事前の届出等は不要(インボイス発行事業者の登録申請時に把握済)です。
消費税の申告時に経過措置を選択適用することが可能であり、申告時に確定申告書に適用の旨を付記する必要があります。