令和5年10月1日から開始されるインボイス制度について、適格請求書発行事業者の登録制度の手続きに見直しと柔軟化がなされました。令和5年度改正案に関するインボイス制度の記事は今回で最後となります。
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令和5年度税制改正大綱の内容
まず、税制改正大綱の原文抜粋を見ていきます。
適格請求書発行事業者登録制度について、次の見直しを行う。
① 免税事業者が適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、課税期間の初日から登録を受けようとする場合には、当該課税期間の初日から起算して15日前の日(現行:当該課税期間の初日の前日から起算して1月前の日)までに登録申請書を提出しなければならないこととする。この場合において、当該課税期間の初日後に登録がされたときは、同日に登録を受けたものとみなす。
② 適格請求書発行事業者が登録の取消しを求める届出書を提出し、その提出があった課税期間の翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合には、当該翌課税期間の初日から起算して15日前の日(現行:その提出があった課税期間の末日から起算して30日前の日の前日)までに届出書を提出しなければならないこととする。
③ 適格請求書発行事業者の登録等に関する経過措置の適用により、令和5年10月1日後に適格請求書発行事業者の登録を受けようとする免税事業者は、その登録申請書に、提出する日から15日を経過する日以後の日を登録希望日として記載するものとする。この場合において、当該登録希望日後に登録がされたときは、当該登録希望日に登録を受けたものとみなす。
(注)上記の改正の趣旨等を踏まえ、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、その申請期限後に提出する登録申請書に記載する困難な事情については、運用上、記載がなくとも改めて求めないものとする。
登録制度の手続き見直しと柔軟化
税制改正大綱抜粋の①~③は、適格請求書発行事業者登録制度(以下、制度という)の登録手続きの見直しであり、(注)は登録申請の柔軟化となります。
登録申請:①について
例えば1月1日から制度に登録しようとする事業者が、登録申請書を提出するにあたり、改正前は1月1日の前日(12月31日)から起算して1ヵ月前の日(11月30日)までに提出する必要がありました。
この見直し後(改正案)は、1月1日の前日(12月31日)から起算して15日前の日(12月17日)までに登録申請書を提出すれば良いことになります。
なお、課税期間の初日(この例では1月1日)に登録通知がされない時は課税期間の初日(この例では1月1日)まで遡って登録を受けたものとみなされます。
登録の取消し:②について
制度の登録の取消しをおこなうための見直しです。
改正後の手続きの日程は①と同様の内容となります。
令和5年10月1日後の登録申請:③について
制度開始(令和5年10月1日)後に登録を受ける場合には、登録申請書に提出する日から15日を経過する日以後の日を登録希望日として記載する必要があります。
登録を受けたとみなす規定は①と同様です。
登録申請の柔軟化:(注)について
令和5年10月1日より制度に登録する場合において、申請期限後(令和5年3月31日後)に提出する登録申請書に困難な事情を記載しなくても良いことになりました。