「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあると思います。
損益計算書では黒字(利益)が出て納税しているにもかかわらず、お金が底をついて会社は倒産。
赤字でも資金があれば倒産は免れますが資金が無ければ待ったなしです。
過去記事の「利益と儲けは違う」でもお話ししていますが、今回は利益と資金のミスマッチを確認し対応策を考えていきましょう。
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資金と利益のミスマッチ
資金の流れを単純にみると支払ったお金に対して受け取ったお金が多いと儲けとなります。
儲けの1年間の蓄積が損益計算書で表現される利益となればわかり易いのですが、実際は過去に払ったお金の一部分や引当金など当期の支出が関係しない費用が発生します。
損益計算書で確認できるミスマッチの主な要因は以下のとおりです 。
■ 減価償却費・繰延資産償却など
過去に支払ったもので支出時に資産計上(建物・車輌運搬具など)され、耐用年数に応じた期間で費用化されるもの。
■貸倒引当金・賞与引当金など
お金は支払っていないが、将来発生すると見込まれる損失のために見積額を計上するもの。
このように表現すると、「儲けより利益の方が多くなるよね」となりますが、減価償却費などはお金を払った当初は資産計上されそのうちの一部が減価償却費として計上されるため、多額の投資があった当初は支払に対して費用となる金額が少なくなります。
したがって、投資する場合は投資金額が何年にもわけて費用化される訳ですから、資金上、収益の回収効果を考慮することが大切になってきます。
次に貸借対照表に目を向けてみましょう。
色々な科目がありますが、全科目がお金の使用状況(資産)とお金の調達状況(負債・純資産)、すなわちお金の現況です。
資産は流動資産と固定資産等に区分されています。
流動資産のうち、売掛金や在庫で滞留債権・滞留在庫があり多額となればたちまち資金が枯渇していきます。先程の図では売上40円に対して仕入20円を支払っており、売上40円を回収できなければ仕入20円分の資金を先行して支払ったことになります。
また、商品を大量に仕入れた場合は在庫となり、売れなければお金の代わりに売れない商品が積みあがるという事態になります。
固定資産等のうち、収益に貢献していない資産(遊休資産・長期貸付金など)は注意が必要です。
特に建物や土地など保有しているだけで固定資産税が課税されますし、投資金額が多額となりがちですから事業に回せていた資金が固定化されます。
資金を常に動かせる状態にしておく
上記のことを逆にとらえると資金についての解決策が見えてきます。
- 売掛金の回収サイトをなるべく短くする
- 逆に買掛金の支払サイトはなるべく長くする
- 商品の大量発注には気をつける
- 事業資金を事業以外(貸付など)に使用しない
- 売上に貢献しない遊休資産などは売却する
- 自社ビルは保有しない オフィスは賃借物件とする
儲けと利益をなるべく一致させることによって、貸借対照表はスリム化され、資金が安定していきます。