税効果会計とは、会計利益と税務所得の乖離が大きくなった結果、税務上の所得金額から算出される法人税等(②)の金額が会計上の当期純利益(④)に与える影響が甚大となり、会計上の利益計算に著しく整合性を欠くこととなったため導入された会計上の制度です。

※文中の(①)等の数字は下記図を参照してください。

法人税等調整額の表示

税効果会計を導入している企業は、損益計算書の当期純利益(④)の上に「法人税等調整額(③)」という科目が表示されています。

(以下の図は、損益計算書の末尾)

税引前当期純利益① ○○○○
 法人税等② ○○
 法人税等調整額③ ○○
当期純利益④ ○○○

※会計上の表示上の考え方:税引前当期純利益(①)×実効税率 =(法人税等(②)+法人税等調整額(③))・・・できる限り近似値になるように制度上は計算されます。

実際の計算では、一時差異(会計と税務の乖離が将来解消する差異)に実効税率を乗じて「法人税等調整額」を算出します。

実効税率とは

「実効税率」は基本的に国と地方の表面税率を足し合わせ、事業税率の翌期損金算入部分を除して計算します。

(実効税率の推移:外形対象法人)

年度 実効税率
平成27年度 32.11%
平成28年度 29.97%
平成29年度 29.97%
平成30年度 29.74%

※大法人(資本金1億円超の税法上の大法人)で、事業税に外形標準課税が適用される法人の実効税率(標準税率ベース)

(実効税率の推移:所得割法人)

年度 実効税率
平成27年度 34.33%
平成28年度 33.80%
平成29年度 33.80%
平成30年度 33.59%

※資本金1億円以下の中小法人等は事業税が所得割課税となり、上記の実効税率となります。

※地方税の税率は大阪府及び大阪市を対象として標準税率で計算しております。

※ただし、中小法人等には法人所得を反映した段階的な軽減税率などがあり、例えば平成30年度の場合は法人所得が400万円以下の前提で計算すると実効税率が21.42%まで下がります

税効果会計を適用した場合は?

  • 会計上適正に当期純利益が計算されますので、財務諸表の信頼性が高まります
  • 金融機関に対しても同様の効果があります
  • 税務上は所得計算上「法人税等調整額」はないものとされます

「実効税率」は基本的に国と地方の表面税率を足し合わせ、事業税率の翌期損金算入部分を除して計算するのに対し、様々な政策減税など法人税の特別控除額等を勘案した企業ごとの法人税額を法人所得で除した負担率が「実質税率」です。この「実質税率」を税額控除で下げましょう!

会社にお金を残す手段・・・税額控除

税額控除とは、会社の所得に対して一定の税率を乗じて計算した税額から一定額を控除するものです。

例えば、実効税率を29.74%として税額控除を100万円うけた場合、単純に税額控除額を実効税率で割り戻すと336万円ほどの所得が減算されたことになります。

所得とは益金から損金を減算して計算されます。

したがって、336万円の所得減算は336万円の経費を支出したことと同様の効果があるわけです。これは節税等の目的でお金を支出していないにもかかわらず、さらに減税分のお金を会社に留保できることになります。

適用可能であれば税額控除を積極的に導入しましょう。

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