前回は有形固定資産の取得価額について、会計上と税務上の規定を踏まえ貸借対照表に計上すべき金額を確認しました。今回は車輌の取得価額について具体例を挙げながら解説します。

車輌購入時の明細

車輌を購入した際には、購入先から以下のような明細が手に入ります。今回はこの明細を中心に話を進めます。

区分 取引内容 金額
販売価格 車輌本体価格 ○○○○
お値引き ▲○○
付属品 ○○
メーカー装備 ○○
合計➀ ○○○○
諸費用明細 税・保険料 自動車税種別割 ○○
自動車環境性能割 ○○
自動車重量税 ○○
自賠責保険料 ○○
預り法定費用 検査登録(希望番号) ○○
車庫証明 ○○
下取り車 ○○
リサイクル関連 シュレッダーダスト料金 ○○
エアバッグ類料金 ○○
フロン類料金 ○○
情報管理料金 ○○
印紙税 ○○
非課税分小計➁ ○○○
手続代行費用 検査登録 ○○
車庫証明 ○○
下取り車 ○○
納車費用 ○○
下取り車査定料 ○○
リサイクル資金管理料金 ○○
課税分小計➂ ○○○
諸費用合計➃(➁+➂) ○○○
支払金合計(➀+➃) ○○○○

明細を確認すると、大きく販売価格と諸費用明細にわかれています。
販売価格は車輌の購入代価で諸費用明細は車輌購入に係る付随費用となります。

購入代価と付随費用

購入代価は車輌の取得価額となりますが、付随費用(諸費用明細の項目)は内容が多岐にわたるため、税金を中心に説明します。

車輌購入に係る付随費用

自動車税種別割

消費税が10%となったタイミングで「自動車税」から「自動車税種別割」へ名称が変更されました。自動車を所有している方に課税される道府県税です。毎年4/1の所有者に課税されます。車輌の所有にかかるものであり取得にかかるものでないため費用で処理します。取得や廃車した場合は、月割りによる課税となります。

自動車環境性能割

消費税が10%となった際に「自動車取得税」が廃止され、「自動車環境性能割」が導入されました。自動車を取得したときに課税される道府県税です。
車輌の取得にかかるものであるため、原則、取得価額となりますが、費用処理しても認められます。

※減価償却資産の取得価額に算入しないことができる費用ついての詳細は以下のページをご覧ください。
自動車重量税

自動車重量税は新規登録の際や車検の際に自動車の重量に対して支払う国税です。取得にかかるものでないため、原則費用で処理します。

自賠責保険料

自賠責保険は万が一の事故の際、被害者が最低限の補償を受けられるようにすることを目的としたもので、法律によって自動車を所有している人は必ず加入しなければならない強制保険です。
新車購入時や車検時から次回車検時までの保険料を、車のオーナーが負担することになっていることから、通常は自賠責保険の保険期間が3年、2年となる場合が多くなります。
したがって、原則的には決算までの期間対応分を費用とし、残額は前払費用や長期前払費用などの経過勘定科目で資産計上します。
しかし、前述したように自賠責保険は法律上強制されおり、金額的にも僅少で、租税公課と同様な性格であることから、継続適用を要件に支払時の費用(損金)とすることが、実務では認められています。

預り法定費用の項目

車検や名義変更など車の登録にかかる法定手数料で、ディーラーが立替えます。収入印紙・収入証紙を納付書や検査表に貼り付けて運輸支局等に提出します。原則、取得価額となりますが、費用処理しても認められます。

リサイクル関連の項目

リサイクル料金は、自動車メーカー・輸入業者が引き取ってリサイクルする「シュレッダーダスト」「エアバッグ類」「フロン類」のリサイクルに必要な費用と、自動車リサイクルシステムを運営するための費用(情報管理料金、資金管理料金)から構成されています。車輌の取得価額の論点からは外れますが、詳細は後述します。

手続き代行費用の項目

法定登録手続きや納車などをディーラーが代行した場合に発生する費用です。原則、取得価額となりますが、納車費用以外は法定登録手続項目に係る代行手数料であることから費用処理しても認められます。

車輌の取得価額決定の具体例と留意点

車輌の取得価額とすべきもの、税法上取得価額に算入しないことができるものを一覧表で確認します。

区分 取引内容 勘定科目 消費税
販売価格 車輌本体価格 車輌運搬具 課税仕入れ
お値引き 車輌運搬具 課税仕入れ(返還)
付属品 車輌運搬具 課税仕入れ
メーカー装備 車輌運搬具 課税仕入れ
諸費用明細 税・保険料 自動車税種別割(注1) 租税公課 or 車輌運搬具 対象外 or 課税仕入れ
自動車環境性能割 租税公課 対象外
自動車重量税 租税公課 対象外
自賠責保険料(注1) 保険料 or 車輌運搬具 非課税仕入 or 課税仕入れ
預り法定費用 検査登録(希望番号) 支払手数料 非課税仕入
車庫証明 支払手数料 非課税仕入
下取り車(注2) 売却原価 非課税仕入
リサイクル関連 シュレッダーダスト料金 リサイクル預託金 対象外
エアバッグ類料金 リサイクル預託金 対象外
フロン類料金 リサイクル預託金 対象外
情報管理料金 リサイクル預託金 対象外
印紙税 租税公課 対象外
手続代行費用 検査登録 支払手数料 課税仕入れ
車庫証明 支払手数料 課税仕入れ
下取り車(注2) 売却原価 課税仕入れ
納車費用 車輌運搬具 課税仕入れ
下取り車査定料(注2) 売却原価 課税仕入れ
リサイクル資金管理料金(注3) 支払手数料 課税仕入れ

新車購入時には、販売価格(車輌本体及びオプション等含む)と手続代行費用のうち納車費用が車輌の取得価額となります。

ただし、中古車購入時には「自動車税種別割」と「自賠責保険料」が車輌の取得価額に含まれ、消費税の取扱いは「課税仕入れ」となります。

(注1)中古車購入時には、前オーナーが支払った「自動車税種別割」と「自賠責保険料」のうち、いまだ期間が到来していない部分(未経過相当額)があります。
これらは、還付制度があるものの「自動車税種別割」は廃車にしないと還付されないことなどから、便宜上、販売業者が未経過分の「自動車税種別割」や「自賠責保険料」を前オーナーへ払戻しします。その払戻し分が新オーナーに請求されているわけです。
したがって、税金や保険料そのものではなく車輌の取得価額を構成し、消費税も課税されます。(消費税法基本通達10-1-6)

(注2)車輌購入時に下取り車がある場合は売却原価(科目は車輌売却損益)となります。

(注3)リサイクル関連のうち、資金管理料金のみ費用で処理し、それ以外は資産計上します。

Article series

有形固定資産の取得価額の決定~資産の取得価額(その1)

2020年8月28日

有形固定資産の取得価額は、会計上と税務上の規定を踏まえ貸借対照表に計上すべき金額を決定することになります。しかし、対象物.....

車輌の取得価額の決定と仕訳~資産の取得価額(その2)現在の記事

2020年9月18日

前回は有形固定資産の取得価額について、会計上と税務上の規定を踏まえ貸借対照表に計上すべき金額を確認しました。今回は車輌の.....

あなたのミカタになる情報を発信!

関連記事

資産の評価・損益への費用配分~ある事業主(A)と税理士(B)...

会計

特例措置の適用可否〜措置法の中小企業者の範囲を見直し(その3...

税務

利益と儲けは違う~ある事業主(A)と税理士(B)の会話...

会計

貸借対照表から見直してみる〜動いていない資金はありませんか?...

会計

少額減価償却資産と一括償却資産の選択適用~償却資産税を考慮す...

税務

有形固定資産の取得価額の決定~資産の取得価額(その1)...

会計