社債の利子は原則、利子所得として分離課税とされています。一方、平成25年度税制改正で同族会社の株主が受ける社債の利子については総合課税の対象とされています。今回の改正はその総合課税の対象となる範囲の見直しとなります。
税制改正前の経緯
平成25年度税制改正の経緯
同族会社の株主が同族会社から受ける社債の利子について、本来総合課税が適用されるべき所得(役員報酬等)を、分離課税(国税15.315%・地方税5%)の適用を受ける利子所得に転換することによって税負担を軽減する事例がみられたため、これを課税の適正化の観点から総合課税(累進税率:国税最大45.945%・地方税10%)の対象とした経緯があります。
平成25年度税制改正後の問題点
しかし、総合課税の対象となる特定個人及びその親族等(措令1の4③)には法人が含まれていなかったことから、個人が同族会社との間に法人を介在させた場合は容易に分離課税の対象となっていました。
対象範囲の見直し
今回の改正で、同族会社が発行した社債の利子で、特殊関係法人(X社)を通じて間接的にその同族会社を保有する個人(個人A:対象者)が支払いを受けるものについて、総合課税の対象とされました。
また、同族会社が発行した社債の償還金についても、同族会社との間に特殊関係法人を介在させる場合は社債の利子と同様に総合課税の対象となります。
租税特別措置法施行令第1条の4③
3 法第3条第1項第4号に規定する政令で定める特殊の関係のある法人は、次に掲げる法人とする。
一 法第3条第1項第4号に規定する対象者(これと法人税法施行令第4条第1項に規定する特殊の関係のある個人を含む。以下この項において「対象者」という。)が法人を支配している場合における当該法人
二 対象者及びこれと前号に規定する特殊の関係のある法人が他の法人を支配している場合における当該他の法人
三 対象者及びこれと前2号に規定する特殊の関係のある法人が他の法人を支配している場合における当該他の法人
適用時期
上記の改正は令和3年4月1日以後に支払いを受けるべき特定公社債以外の公社債の利子及び償還金について適用されています。