令和6年度税制改正で、租税特別措置法に係る小規模な改正のうち、実務で関連が多いと思われるものをいくつか見ていきます。
特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例における経営セーフティ共済に係る改正
この制度は、長期間にわたって使用され、又は運用される経営セーフティ共済掛金でその支出した金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入するものです。
税制改正大綱の内容
特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例における独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後同法の共済契約を締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する当該共済契約に係る掛金については、本特例の適用ができないこととする(所得税についても同様とする)
(注)上記の改正は、令和6年10月1日以後の共済契約の解除について適用する。
今回の改正では、共済契約の解除があった後に再度の共済契約を締結した場合の支出する共済契約に係る掛金について、共済契約の解除後より2年間にわたり損金に算入できないこととなりました。
連鎖倒産を防止するという本来の趣旨から逸脱した契約解除と契約締結を繰り返す行為を規制する目的と思われます。
令和6年10月1日以後の共済契約の解除について適用されますのでご留意ください。
交際費等の損金不算入
この制度は、法人に関する交際費の支出を抑制する目的で規定されています。 改正前の制度の概要は以下のとおりです。
交際費等の範囲
交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為
※1人当たり5,000円以下の飲食費で書類の保存要件を満たしているものについては、交際費等に該当しません。
交際費の損金不算入制度の特例措置
A:交際費等の額が800万円(事業年度の月数が12に満たない場合は月割り)まで全額損金算入
B:交際費等のうち接待飲食費の50%まで損金算入
法人規模による特例の適用可否
1.資本金1億円以下の法人(大法人(資本金5億円以上の法人等)との間に完全支配関係がある法人は適用対象となりません)
・・・A又はBを選択適用可能
2.資本金1億円超100億円以下の法人(上記、1で除かれた法人を含む)
・・・Bを適用可能
3.資本金100億円超の法人
・・・適用なし
税制改正大綱の内容
交際費等の損金不算入制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。
- 損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準を1人あたり1万円以下(現行:5,000円以下)に引き上げる。
- 接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を3年間延長する。
(注)上記1.の改正は、令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用する。