令和7年度税制改正大綱では、所得税に関して「子育て支援に関する政策全体での対応も踏まえつつ、人的控除をはじめとする各種控除のあり方について検討を行う。」とあり、働く現役世代に対する一定の措置がとられた形となっています。

なお、当該改正案に関しては租措法等成立に伴い、制度内容変更の可能性があります。

生命保険料控除

生命保険料控除とは所得税において所得金額から差し引かれる所得控除の一つです。居住者が年齢23歳未満の扶養親族を有する場合には、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の控除額の計算は以下のようになります。

年間の新生命保険料 控除額

30,000円以下

新生命保険料の全額

30,000円超60,000円以下

新生命保険料×1/2+15,000円

60,000円超120,000円以下

新生命保険料×1/4+30,000円

120,000円超

一律60,000円

旧生命保険料及び上記の適用がある新生命保険料を支払った場合には、一般生命保険料控除の適用限度額は6万円(現行:4万円)となります。

ただし、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額は12万円となります。(現行の合計適用限度額と同じ)

住宅ローン控除

正式には、「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」といいますが、冗長ですからここでは「住宅ローン控除」としています。

概要

個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得又は増改築等をした場合で、一定の要件を満たすときは、所得税の減税(税額控除)を受けることができます。また、住宅ローン等を利用しない場合であっても、一定の要件を満たすときは、所得税の減税(税額控除)を受けることができる制度です。

主な改正内容

特例対象個人(※1)が、認定住宅等(※2)の新築若しくは認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得又は買取再販認定住宅等(※3)の取得(以下「認定住宅等の新築等」という。)をして令和7年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)を次のとおりとして本特例の適用ができることになります。

住宅の区分 借入限度額

認定住宅

5,000万円

ZEH水準省エネ住宅

4,500万円

省エネ基準適合住宅

4,000万円

※1「特例対象個人」とは次のいずれかを満たす個人をいいます。

 ・年齢40歳未満であって配偶者を有する者

 ・年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者

※2「認定住宅等」とは、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅をいい、「認定住宅」とは、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいいます。

※3「買取再販認定住宅等」とは、認定住宅等である既存住宅のうち宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われたものをいいます。

改正の適用時期

この改正は、生命保険料控除は令和8年分以後の所得税について適用され、住宅ローン控除は令和7年分以後の所得税について適用される予定です。

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