もうすぐ11月となり、今年も年末調整の時期が近づいてきました。給与を支給している事業者(源泉徴収義務者)は年末調整を行う必要があり、担当者は忙しい時期になりますね。今回は生命保険料控除等申告書を中心に各控除とその控除証明書について確認をしていきます。
生命保険料控除
生命保険料控除となる保険料は「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」に区分されます。
これらの保険料は所得者本人が支払ったものに限られるため注意してください。(契約者が誰であるかの要件はありません)
また、保険金等の受取人の全てが所得者本人又は所得者の配偶者や親族(個人年金保険料については親族を除く)となっていることが必要です。
- 一般の生命保険料
一般の生命保険料は新生命保険料(平成24年1月1日以後に契約し支払った保険料等)と旧生命保険料(平成23年12月31日以前に契約し支払った保険料等)に区分されます。 新生命保険料と旧生命保険料で計算される控除限度額が異なりますので、「新」か「旧」を控除証明書にて確認してください。必ず記載があります。 - 介護医療保険料
平成24年1月1日以後に契約し支払った保険料で、医療費等支払事由に起因して保険金等を受け取るものです。こちらは、「新」か「旧」の区別はありません。 - 個人年金保険料
契約の要件として、年金支払開始日前10年以上の期間にわったて定期に行うものである場合は該当します。
生命保険料控除の部分で記載していますが、年金の受取人が保険料等の払込をする者又はその配偶者が生存している場合には、これらの者のいずれかである必要があります。 また、一般の生命保険料と同様の「新」か「旧」の区別があります。
地震保険料控除
所得者本人又は本人と生計を一にする親族が所有している家屋・家財のうち一定のものを保険や共済の目的とし、かつ、地震等損害により生じた損失を填補する保険金又は共済金が支払われる損害保険契約等に基づく地震等損害部分の保険料や掛金で所得者本人が支払ったものに限られます。
また、平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等に係る保険料又は掛金を支払った場合には、これらのうち一定の金額については、地震保険料控除の対象に含めることができます。
社会保険料控除
社会保険料には、次のものがあり、その全額が控除されます。
- 健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの保険料や掛金のように毎月の給与から差し引かれているもの
- 国民健康保険や国民年金などの保険料や保険税、掛金のように本人が直接支払っているもの
※国民年金の保険料及び国民年金基金の掛金については、保険料を支払ったことを証明する書類が必要ですが、それ以外の保険料等については必要ありません。
小規模企業共済等掛金
小規模企業共済等掛金とは、次に掲げるものをいいます。
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構と契約した共済契約
- 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金(iDeCo の掛金など)
- 地方公共団体が条例の規定により実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度で一定の要件を備えているものに基づいて支払った掛金
(注)掛金を前納したことにより前納減額金の支払を受けているときは、支払った掛金の額からその前納減額金を差し引いた残額が控除の対象となります。
これらは、毎月の給与から差し引かれるものと本人が直接支払っているものなどがあり、その全額が控除されます。
そのうち、本人が直接支払っているものについては、その掛金を支払ったことの証明書類を保険料控除申告書に添付して提出又は提示する必要があります。
小規模企業共済掛金について、前納減額金を受け取っている場合には、控除証明書に記載がありますので掛金年額から控除することを忘れないように注意してください。
まとめ
事業者(源泉徴収義務者)より支払われている保険料等については、控除証明書は必要ありません。所得者本人から支払われている保険料等について、原則、控除証明書が必要となります。
また、保険料控除の対象となる保険料等は年末調整の対象年分に支払われたものに限られますから注意してください。
忙しい時期となりますが、お勤めの方は年末調整で課税関係が完了する場合が多いため、正確な記載を周知していきましょう。