事業活動の遂行上、取引先との親睦を深めるためにゴルフをプレーする場面があります。さらに、割安なプレー料や会員優先枠予約の恩恵等を享受したい場合に、ゴルフ場の利用権を取得する機会もあることでしょう。今回はそのゴルフ会員権の取得価額について確認していきます。

ゴルフ会員権の概要

ゴルフ会員権は市場で取引されています。「株式」と「保証金(預託金)」の形態があり、約9割が「保証金(預託金)」となります。

法律上は株式・手形のような有価証券ではなく、会員と会社(ゴルフ場)との間だけに有効な権利証券であり、名義書換がされない限り第三者が取得しても効果が発生せず、金融市場では、有価証券に準じたものとして流通しています。

株式形態

株主として出資し、株主総会で議決権を行使できます。また、施設の継続的優先利用の契約を会社(ゴルフ場)と締結します。会社(ゴルフ場)の解散時には持分比率で全資産の分配を受ける権利を持ちます。

保証金(預託金)形態

会社(ゴルフ場)に施設利用権として、金銭を預けることにより会員の資格が発生し、優先プレー権・預託金返還請求権を取得します。退会する場合は預託金の返還請求権利があり元金が保証(倒産による法的整理を除く)されており、市場での売却も可能です。

ゴルフ会員権を取得する場合の費用

会員権の取得に伴い、主に以下の支出項目が発生します。

支出項目 備考
ゴルフ会員権 株式や保証金(預託金)でゴルフ場募集時に出資又は預入
名義書換料 会員の名義書換の際にかかる費用であり、退会時には返還されません。
年会費 通常は、年会費制で1年に1回の支払が生じます。
取引手数料 会員権業者へ支払う斡旋購入手数料。
入会金 ゴルフ場により、名義書換料のほかに必要な場合があり、退会時に返還されません。
入会保証金(入会預託金) 第三者に名義変更(名義書換)がなされた際に追加的に課すものであり、各ゴルフ場で必要の有無や返還方法を定めています。

ゴルフ会員権の取得価額決定の具体例

上述の支出項目を基にゴルフ会員権の取得価額の詳細を見ていきましょう。

支出項目 会計上 税務上(注1)
ゴルフ会員権 投資有価証券又はゴルフ会員権 投資有価証券又はゴルフ会員権
名義書換料(注2) 投資有価証券又はゴルフ会員権 投資有価証券又はゴルフ会員権
年会費 接待交際費等(費用) 接待交際費(費用)
取引手数料(注3) 投資有価証券・ゴルフ会員権又は接待交際費等(費用) 投資有価証券又はゴルフ会員権
入会金(注3) 投資有価証券又はゴルフ会員権 投資有価証券又はゴルフ会員権
入会保証金(入会預託金) ゴルフ会員権 ゴルフ会員権

(注1)業務遂行上必要でないとされた場合は全額が権利受益者の役員給与又は給与となります。
法人の業務上必要であったとしても、記名式の会員権の場合に個人名義で取得したゴルフ会員権は権利受益者の役員給与又は給与となるため、法人名義で取得するよう留意が必要です。
なお、無記名式の法人会員制度がない会員権で個人会員として入会した場合は法人の資産(経費)として認められます。

(注2)名義書換料は返還されないことから、ゴルフ場の大きな収入源となっています。
金額が大きくなる場合が多く、取得時の名義書換料は資産として計上しますが、従来から所有しているゴルフ会員権の名義書換料は接待交際費(費用)として処理します。

(注3)会計上は詳細な規定がないため実務的には税務の取扱いに準じて処理します。税務上は取得にかかるものとして取得価額を構成します。金額構成が僅少なものとして取引手数料を会計上費用とした場合は別表調整のうえ加算します。

ゴルフ会員権の勘定科目表示

ゴルフ会員権の貸借対照表への表示は、固定資産「投資その他の資産」の区分へ勘定科目を設けます。
株式形態の場合は「投資有価証券」や「出資金」として表示します。
保証金(預託金)形態の場合は「差入保証金」として他の保証金と纏めて表示する、又は「ゴルフ会員権」として独立掲記する場合もありますが、賃借物件等の保証金とは評価の性質が違う部分もあるため、金額等の重要性が大きい場合は「ゴルフ会員権」として独立掲記するほうが表示上好ましいでしょう。

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